Dentsu Space Lab

宇宙から考える、食の未来(前編)

1宇宙で暮らす日がやってくる

宇宙を考えるとき、欠かせないのは食事です。今まで宇宙食は、宇宙飛行士が安全に過ごせるように衛生や保存性が重視されてきました。ではもしも、人類が宇宙で暮らす日がやってきたら宇宙食はどうなるのでしょう?

2019年8月、Space Food Xは、2040年に月への移住者が1000人に達するというシナリオを発表しました。人類の惑星移住を見すえて、宇宙食の研究開発を進めるとしています。

Space Food Xが2050年に向けた長期シナリオ1.0と新メンバーを発表
〜地球課題解決と惑星移住に向けた活動の加速へ〜

これからの宇宙食は、単に食べるためだけではなくエンタメ要素も大切になっていきます。そんな未来を見せてくれる取り組みとして、“Sushi Teleportation”(転送寿司)を紹介します。食事をデジタル化し、3Dプリンターを使って自分好みの食事を再現することを目指しています。

この企画の発案者で、電通のアートディレクターの榊(さかき)良祐さんに話を聞きました。それではまず、未来の宇宙食を映像でご覧ください。

2地上の食を宇宙へ

“Sushi Teleportation”(転送寿司)のコンセプトムービー

榊:昨年、東京で握った寿司をアメリカで出力するデモンストレーションを披露しました。SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)という世界最大のイノベーションの祭典で発表したところ大好評で、国内外のメディアで取り上げられ、連携、イベント招致などの話が舞いこみました。

このように、食にテクノロジーを導入することで生まれる新たなビジネスやサービスを「フードテック」と呼びます。私の立ち上げたOPEN MEALSでは、この他にも取り組みをしています。

-え、寿司のテレポート以外にも!?

榊:OPEN MEALSは食べ物をデータ化し、フードプリンターでどこでも好きなものが食べられるようにして新たな食文化をつくる取り組みです。

-壮大ですね。「食事をデータ化する」というと……?

榊:食感、味、香り、弾力、温度など、食事にまつわる情報を数値化するということです。大学やバイオベンチャーなどの専門家と連携しています。食データを編集できるように、独自規格も構想しています。

-ちゃんと裏付けがあるんですね。現在は、どんなプロジェクトに取り組んでいるんでしょうか。

榊:2020年に「超未来寿司屋」の開店を予定しています。

-おー、機械がたくさんありますね! ここではどんなスケールの大きいことを考えているんですか?

榊:超未来寿司屋は、お客さん一人一人の健康、嗜好に合った食事を提供するレストランです。事前に遺伝子、栄養状態、腸内環境などを検査して、その情報をもとにお客さんにぴったりの食事を提供します。

-遺伝子レベルで、その人に合った食を出すんですね。お客さんの味覚や健康までデータ化してしまう。

榊:現在はメニューを考えていて、実現のためにどんなテクノロジーが必要か、誰と連携するかなどを一歩一歩進めています。

-お客さんにどう思ってもらえたら成功ですか?

榊:いらした方々が「もっと進化したものを体験したい」と思うことです。この寿司屋を通じて食の未来を体験いただいて「フードテックって面白い」と思ってもらう。そして、パートナーを集めて技術を磨いていきます。

次回に続く)

取材協力:榊良祐
ライター:東成樹