1 SFが現実に
ガンダムと、その宿敵シャアザクが宇宙空間へ飛び出す。そんな夢のような挑戦が5月15日(水)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から発表されました。
JAXAは、東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げる「ONE TEAM PROJECT」に参加しています。本企画「宇宙から東京2020エール!第2弾」では、東京大学の中須賀船瀬研究室の協力のもと「機動戦士ガンダム」のプラモデル“ガンプラ”を搭載した小型衛星「G-SATELLITE」を開発。2020年に宇宙空間へと打ち上げ、電光掲示板を通じて宇宙から応援メッセージを送ります。
記者会見には、機動戦士ガンダム総監督の富野由悠季(とみのよしゆき)氏が参加して、企画の意義を語りました。
「このような機会のおかげで、宇宙に進出することがファンタジーではなくなった。50年後、100年後の人たちには、もっと大きな夢を探していただけたらありがたい」
現在の最新技術で未知の企画に取り組むことで、次の世代の人たちにはさらなる挑戦をして欲しい。そんな監督の思いが伝わってきました。
2ミッション:ガンダムを宇宙へ
こちらが今回、打ち上げられる予定の超小型衛星「G-SATELLITE」。
10cm×10cm×30cmの直方体で、りんごが3つ入るくらいのコンパクトなサイズです。この小さな空間の中にガンダム、シャアザクや電光掲示板などが積みこまれ、繊細な技術が必要となります。衛星を開発するのは、2003年に世界で初めて1キログラムの超小型衛星の打ち上げに成功した東京大学の中須賀真一教授です。
読者の中には「宇宙空間にガンダムを打ち上げればいいだけでしょう?」と思う人もいるかもしれません。しかし、宇宙への打ち上げには様々な課題があるそうです。
例えば温度。地球の影に入って太陽光が当たらなければマイナス100度以下になり、逆に光が当たり続ければ100度以上になることもあります。この過酷な温度差に耐える必要があるのです。
他にも放射線や紫外線に耐えられる素材の探求や、地上から500km以上離れた宇宙との交信など、数々の課題を乗り越えなければなりません。ガンプラ開発を専門に行う山中信弘氏のチームも加わり、本ミッションは日本の技術を結集して進められています。
3 東京2020を、ガンダムが宇宙から応援
今回の挑戦はオリンピックという国を越えた一大イベントを、地上のみならず宇宙からも応援する取り組みです。人類の限界に挑むスポーツ選手たちの姿が、人類の限界を知性とテクノロジーで乗り越えようとする宇宙業界の人々と重なるようです。
将来「機動戦士ガンダム」の世界のように、人々が様々な星に移住して宇宙船で惑星を行き来する日がくるかもしれません。その時も、人類はまた新たな課題を見つけて、挑戦を続けるでしょう。このG-SATELLITEのチャレンジが、その第一歩となるかもしれません。
ライター:東成樹
写真:小田健児