Dentsu Space Lab

種子島宇宙芸術祭が開幕 #2「宇宙を思う」篇

8月5日(土)、種子島で宇宙をテーマにした新しい芸術祭が始まりました。世界で最も美しいロケット打ち上げ場があるといわれるこの地で、宇宙を身近に感じるきっかけをつくり出す取り組みです。

種子島宇宙芸術祭(11月12日まで)

http://space-art-tanegashima.jp/

宇宙ラボのメンバーも、現地に見に行きました。後半では、宇宙に思いをはせるコンセプチュアルな作品を紹介します。

Myrkviðr〔ミュルクヴィズ〕(千田泰広)

釣り糸を張り巡らせた真っ暗闇の空間で、LEDの光点に照らされて無数にきらめく光の粒が浮かびあがり、ゆっくりと動きます。「Myrkviðr(ミュルクヴィズ)」とは「深い森」という意味。山岳や洞窟、建築のフィールドワークを繰り返し、空間と時間、そして光と闇が体に働きかける可能性を探ることで、千田氏は人間の知覚の限界を追究しています。

千田 泰広(ちだ やすひろ)

武蔵野美術大学建築学科専攻卒業。高所登山やケービングなどのフィールドワークを行い、「空間の知覚」と「体性感覚の変容」をテーマに空間を実体化する作品を制作。「宇宙をみる眼」志賀高原ロマン美術館(2015)などに参加。建築、舞台美術、空間演出等の経験から、宇宙の広大な原理に基づいた光の演出効果が体験できる劇場型の作品を特徴とします。

f(p)(小阪淳)

数学の世界では、直線、円、放物線や球を簡潔な数式で表わすことがあります。これらの式を拡張するとあるときは建築物のような、またあるときは大地や惑星のような驚くべき形を生み出すことができます。コントローラーを操作すると、数式が変わって映像が変形します。その映像はまるで神の手によって創造された宇宙のようで、技術と宇宙のつながりを見てとることができます。

小阪 淳(こさか じゅん)

大阪大学工学部建築学科卒業。東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了。一級建築士。文部科学省「一家に1枚宇宙図2007」、国立天文台「太陽系図2014」、「光図2015」などの制作に参加。同年より「宇宙図@オンライン」制作。

GT8215「世阿弥」2017(篠田守男)

宇宙科学技術館に作品が設置されています。この作品の中央にあるオブジェは、ワイヤーにつながるおもりの重力で吊り下げられています。

篠田守男氏は金属の構造体をワイヤーの張力で宙に浮かせたTC(テンション&コンプレッション)シリーズの作品に取り組み、国際的に注目を浴びてきました。本作品は彼が長期にわたって取り組んできた支柱のテンションを離れ、浮遊する形がおもりに身をまかせて、より自由になっていく未来の彫刻を示しつつ「重力の恩寵」シリーズと名づけられています。

篠田 守男(しのだ もりお)

1931年東京都生まれ。筑波大学名誉教授・彫刻家。鋼鉄線の張力と圧力で金属塊を中空に固定させるTC(Tension and Compression)シリーズで知られる金属彫刻で、奇妙で不思議な空間を創出。1966年ヴェネツィア・ビエンナーレ展に出品、第9回高村光太郎賞を受賞。第1回現代日本彫刻展神奈川県立美術館賞、第2回彫刻の森美術鑑賞、第4回朝倉文夫賞など次々に受賞。2000年には国際彫刻センター(ISC)優秀彫刻教育者賞をアジア人として初受賞。